だいたいの大人はもうわかっているはずだが、電力調達の途というのはいずれ絶たれることになる。
それは直接にいまある我々の危機というわけではないが、これを「我々」の問題だと捉えるかどうかは想像力の問題だ。
道徳や義務や知性の問題にすり替えてはいけない。戦争になる。
これはあくまでも想像力の問題なのだ。
解は原子力以外にない。
もちろん電力によってブーストされた現在の生活レベルを引き下げる覚悟があるのなら、結論を先延ばしにするのもわるくないだろう。
ただ、太陽光による自家発電では風呂の湯も満足に沸かせないという事実をごまかしてはいけない。
我々は大量の電力を不断に、継続的に必要としているのだ。
だからといって恥じることも悔いることもない。これこそは人類の進化の代償、というよりは進化そのものの一部なのであるから、頭をあげて胸を張り、これからのことを考えよう。
UAがステージで語った。
母親である女性は、イヤだと感じたことをイヤだと口に出していいのじゃないかと。
つまり原発の存在がイヤだと云うのだが、それを母親の「権利」であるとか「義務」であるとか云わなかったところに深い知性を感じた。
これは表現だ。
だが原発に関して云えば残念ながら、もう後戻りはできない。
何をリサイクルしようが、化石燃料はやがて底を尽き、子どもたちは選択を迫られることになるだろう。
我々にできることと云えば、技術革新を進め、原子力利用の安全性を高めておくことぐらいだ。
よって政府は国民の知性を愚弄することなく、その想像力に訴えて原子力政策を進めろ。
電力シフトに時間がかかり、その間だけでも化石燃料を生きながらえさせたいと思うのであれば、うさんくさい「エコ」など謳っていないで電気料金の引き上げに動け。それが電力会社の問題だなどとは聞きたくない言い訳だ。
そうすれば国民の電力消費は低下する。
電力会社はそうしてあがった利益を原子力発電の開発に傾注すべきだ。
金だらいでウランを混ぜるような職員がまともな教育を受けているとは思えない。
原子力の恐ろしさを正しく理解した人間が、それでも平気で従事する程度に安全性を高めないから、なんとなく危険だと思っていても他に仕事のない職員が「そこ」へ充てられることになる。
「安価な人命」の犠牲のもとに社会の未来を築いてはいけない。
※ところで安価な人命の犠牲のもとに現在の社会が成り立っているという事実を忘れてはならない。この事実を置き去りにしたどのような抗議も人としての品性を欠いている。
原子力発電所の存在はそもそも危険をはらんでいる。
地震をはじめとした天災、武力攻撃、オペレーションミス等々。
だがこんなものは核保有国の「核管理」リスクに比べればどうということはない。
東京に原子力発電所はないが、東京に狙いを定めた核ミサイルがいくつあるかは誰にもわからない。
どんな理由があろうと、それが一度も誤って発射されたことがないのはなぜか。
地震や台風で「核ミサイル」が倒れて火を噴いたことがないのはなぜか。
それは核管理に莫大な予算がかけられているからだ。
地震で煙を吐く原発や、放射能の影響を示す同心円を見るのはたしかにイヤだ。
だが知性を求められるレイヤーにおいて、それが原子力をめぐる諸問題の本質だと考えてはならない。
本質とは原子力とともに生きる未来だけが未来であるということと、そのためのカネをケチっている奴がどこかにいるということだ。
要するにいまのところ母親たちは人類の未来そのものに嫌悪を抱いている。
道徳や権利や義務に責任があると考える者たちのすべきことはごく限られている。
